連載コラム

「-没落家族の子孫でも生き抜けると知った。-」

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2023.12.15

 「没落」という言葉はあまりいい気がしない。

 でも現実は結構多い様だ。私の経験ではどんなにご先祖が頑張って
有形無形の財を残してくれても、子孫が正しく受け取る能力がない場合は、
やはり社会的には没落というらしい。

 今の時代はそんな言葉は使わないと思われるかもしれないが
古今東西、人生はもともと上がったり下がったり、
まさにジェットコースターのようだと教えてくれる人々がいた。

 人は貧乏生活をしている人をどう見るだろうか?

 ものごとには必ず理由がある。

 自分の終活で台湾まで行って私のご先祖、連れ合いのご先祖の戸籍調査をした。

 何のことない。私たち夫婦はどちらとも第二次世界大戦で
没落した家族の子孫なのだ。

 私が知っているのは私の両親の戦後の没落生活だった。

 お陰で私は物心つく頃から「生きることの厳しさ」を知り、
母は盛んに

「奪われない財産を持ちなさいよ。
不動産、お金、宝石などは消えるかもしれない。
うっかりすると生命もなくすよ。
自分も生きて他人様も生きてゆくように人様に役立つ仕事。
それは医師になる以外ない。」

と徹底した教育を実行した。

 当時女の子にも学習させると言うのは神戸華僑の間では不評だった。

 それから時間が経って今では女医は珍しくもない。
私はその後は母の教えが正しいか研究し続けていたが、
「90パーセント正しいけど、医師ライセンスは必ずしもなくて良い」と分かった。

 納得するまで時間がかかったが、これも没落家族の子どもとして生き、
更に私は65歳で自己破産までしたその経験があるからだ。

 自分が生きて人様に役立つことをする努力は
結果的に生きる力となる。

 正義は不正義と背中合わせなので、敵は多いかもしれないが
天は見守ってくれる。

 お金がさほど多くなくても、悲観しなくても良いものだ。

 日本の社会は其れを教えてくれている。