連載コラム

「-身の周りのものの毒性問題 その③-」

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2024.04.01

 私が『復刻版 漢洋医学闘争史――政治闘争篇』を
入手したのは理由がある。

 昔、矢数道明先生や細野史郎先生が時々講座を
開いてくださっていた。時間がある限り出席したが、
楽しみは講義が終わった後の先生とのおしゃべりである。
4、5人がぱっと先生の傍へ駆け寄り、先生にあれこれ
質問したり脈を診て貰ったりして元気を頂いていた。

 そんな中である時、道明先生がおっしゃったのだ。
「もうすぐ本が出版できるんだ。東洋医学の苦難の道だよ。
よく勉強してくれな」と言われて、
私達はいっせいに「ハイ!」と答えたのだ。
それがこの『復刻販 漢洋医学闘争史――政治闘争篇』
昭和56年頃の出版本だ。

 すぐ入手して時にはパラパラ広げていたが、
じっくり読むほどの時間は無かった。
それでも私にとっては大切な一冊である。

 和田啓十郎著『医界之鉄推』は若い時から繰り返し読んでいた。

 いつも思うのは「生きるとは自分との戦いだ」。
というのは好きで生まれてきたのでないが、
気付いた時にはもうある程度時間が経って、
肉体は生体内に組み込まれたスケジュール通りに
変化し続けている。

 物心つく頃より生きるか死ぬかギリギリの線の上で
綱渡りしているという自覚だ。何度も臓器摘出や
大量ステロイド療法以外ないと医師達に言われ、
心臓の専門家は「アンギオを受けない」と言う
私を怒鳴なりつけていた。

 何度か癌専門病院で「癌疾」と言われ、56歳の時は
子宮全摘両卵巣摘出とかで手術日まで決まっていた。

 私は本当に自分は不思議な運命だと思う。
主治医の女医さんが夜病室へ来てくれたのだ。
「逃げてください。ご自分で治療してください。
なんとかうまくキャンセルしておきます」と言われ私は退院した。

 3回3か月ごとの主治医の検診を受けたが、
アメリカへ行かれたのでそれっきりである。
それでも今も私は色々な異常値を抱えたまま
何とか自分の肉体をだましだまし維持している。

 今の治療薬は食材と漢方薬と幾つかのサプリメントである。

 68歳で完全に西洋薬の服用はやめた。
精神的に弱いと自覚する私はたまには抗精神薬を
服用していたが、断薬がどんなに難しいか経験したのだ。

「漢方薬でも薬は薬ですよ。天然素材ですので
大切に処方するように!」と言ってくださったのは、
もう60年前になる漢方の師のアドバイスである。

 昔から「毒をもって毒を制する」と言われるが、
最近特に「毒性」について考えることが多くなった。

 天然の自然毒。人工的な化学合成製品の毒、
化学物質だけが生命の生存を脅かしているのでないが、
それでも地球は海から地上から大気に到るまで
毒にまみれてしまった。

 自然毒はいずれ解毒される時があるだろうけど、
人工的な化学合成毒はなかなか分解されない。
それらは地上の全生命体に影響を与える。

 長年使われていた漢方薬でも毒を持っているので
使うなとおっしゃる医師もおられる。
『漢方薬副作用百科』(内藤裕史著、丸善出版)である。
内藤先生は中毒学の権威であるが、私は他の
『健康食品中毒百科』や『薬物乱用中毒百科』などの
内藤先生の本は持っていない。

 約7、8年前だろうか、ある用事で私は内藤裕史先生と
電話でお話しさせてもらったことがある。

 先生の漢方薬に対する考えは厳しかった。
でも物心つく頃より、漢方薬にも化学合成医薬品にも
お世話になりっぱなしの私にとっては
「中毒」と言われても薬は手放せなかった。

「世界中は毒だらけ」になってしまった現在、
私達はどうすればよいだろう?

 ニュースでは「紅麹」をきっかけに6800品目もあるらしい
機能性表示食品の全部の見直し点検を始めるとのことであるが、
それらだけ見直すのでは科学的態度でない。

 その死亡された方がどんな生活をして、
どんな食生活をしていたのか?
紅麹以外に何か他のサプリメントとか
化学合成医薬品を服用していないか?

 私に言わせてもらえば、化学合成医薬品のほとんどは
副作用がある。つまり「有毒物質」なのだ。

 もちろん紅麹そのものが有毒なのか?
限定したロットのものだけなのか?
加工大量生産品であるから、その生産過程で、
問題が起こったのだろうか?

「副作用を知らずして漢方薬を使用するなかれ、
語るなかれ、飲むなかれ!」(内藤裕史先生の言葉)と
言われるが漢方薬に限らず全ての毒性物質に
ついて確かに正しいと思う。

 だから今回の新コロナワクチンの毒性、
食品添加物のすべての問題、
P-FAS(有機フッ素化合物)問題も、
これから起こる可能性もある「半導体工場」の
環境汚染の問題も考えに入れねばならない。

 全ての研究は最終的には生体内での反応を確認して
言っているのか? 私から言えば化学合成医薬品は
使用されている量が多いし、副作用、副反応も多い。
つまり初めから「毒性物質」である。

「中毒学会」はずっと声高に「最新医薬学・化学」の
発展に釣られて増え続ける「中毒物質」についての
危険性を訴え続けておられる。

 自分の生命健康は自分で守る以外ない。
他人と物質に頼りたいのが人の常だろうが、
子ども以外は自己責任と言える。

 今回の事件は私達に「生き方」についてもう一度
内省を促してくれている。そして行政の真剣度が楽しみである。
日本中のすべての毒性物質の総点検をお願いしたい。