連載コラム

「ー「植物学と漢方医学」①ー」

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2023.04.04

 皆様は、もうご存じと思いますが、「医療」と「医学」は全く別のものです。「医療」はあくまで、その人が、普通に働いて生活して、寿命尽きるまで生きて、ころりと逝きたいというその人の欲望を満たす手段で、人類の有史以前からの智慧でした。

 たとえば痛いところがあると、抑えて痛みを軽くしようとしたり、指先をやけどしたら、慌てて指を冷たい水の中に突っ込んだり、これも手当であり「医療」の一部と考えられるのです。

 医学とはずっと後になってから「学問としての研究がなされた結果、導き出されたものが、学問として体系づけられてきたもの」ですから、ずっと後に現れたものです。

 医療という言葉としてはどう考えるかわからないのですが、例えば植物ですら、傷つけられると、その傷を治そうとします。動物でも傷ついたところを「一生懸命舐める」という行動が観察されることがあるのです。

 人の場合でも、不調になると、人の目には見えなくても、体内では必死に普通の状態へ戻そうとする力があります。

 「自然治癒力」

 人体は一つの小宇宙と言われています。64兆個とも45兆個とも言われる単細胞の集合体である「多細胞生物」であり、各細胞は各々仕事分担している一つの有機体なのです。

 全体で外見上「一人の人」と見えるのですが、もともとは沢山の生命の共同体です。ですから体内には沢山の微生物[ヴィ―ルスや細菌、真菌]なども生存し、時には寄生虫といった大きな生命体も住みついています。皮膚に至っては数知れない生命がくっついています。

 空気自体は見えないけれども細菌、ヴィ―ルス、花粉や埃まみれのものですし、最近は更にナノプラスチックという、人が作り出した異物も漂っています。人は無菌室で生活しているのでないのです。

 それは宇宙の「ノアの箱舟」としての地球に人類だけでなく、あらゆる生命体が寄生しているのと同じです。人の社会というのは、各々の社会の人びとが集まって、一つのコロニーとなって、「国名」が便宜上ついていますが、もともとは人類は地上を移動し続けてきたものです。

 ところ変われば品変わる。時期と場所によって人も時間をかけてその地に適応していくのですが、その発達進化速度はそれこそまちまちでした。ですから19世紀、20世紀のヨーロッパ、アジアの人々が世界へ目を向け植民地探しに奔走していた時、先住民は自分たちより劣る生き物{自分と同じレベルの人とは考えなかった}と思えます。選民意識はどの人にも潜んでいます。

 彼らが世界へ乗り出しその領地から欲しかったのは自然の宝{植物や動物、地下資源その他}ですから、今も同じようにことは進んでいます。わかることは、力ある社会のトップは、すでにグロバーリズムで世界植民地化を成功させつつあり、教育も初めから平等と言えるものでないのです。

 でも仕方ありません。ここではあくまでも一医療者として生きてきた、私の「植物学と漢方医学の大切さ」を皆様にお伝えしようとするものです。植物は生命の始まりとも言われます。

 植物自体必死に生き延びようとして、人類が世界中を荒らす以前から、食うか食われるかの植物同士の生存競争をしています。限られた空間で生きるというのは、どんな生命体でも必死です。植物同士の「軍拡」は私の小さな庭でも見ることが出来ました。地植えの植物の様子は本当に良い学習になりました。

 前書きが長くなりました。

 「植物とは何か」

 植物とは何かとはある程度定義はされていますが、分類は本当に難しい気がします。専門家でないので詳しくはわからないですが、気が付くことと言えば「品種改良の凄さ」です。

 自然交配などでどの生物も少しずつ変わってゆくのは当然ですが、{人間だって同じ}、ターミナルテクノロジ―と言われるF1種の出現、その他もろもろの科学技術で、私たちが普段から食べるお野菜自体がどんどん変化しているのです。

 さらに生化学や生命科学の発展で、植物自体変化し続けています。それは後で言いますが漢方薬製剤にも関係してくるのです。今は私が習った程度の事をまとめます。一般的に、

 ①植物は動き回らない

 ②成長できるし、子孫も作れる、根を伸ばし茎も幹も伸ばせます。

 根は自分の個体を大地に固定してしまうので、植物は動けなくなるのです。

 ③光合成をして、自分で栄養を作り出します。植物は葉緑体{クロロプラスト}があるので、緑色に見えることが多い。

 光合成で自分で栄養を作り出せるので、独立栄養生物とも呼ばれることがあります。光合成は二酸化炭素と水を材料として、太陽の光をエネルギ―として澱粉を作り、酸素を吐き出します。地球に多くの生物が住めるようになったのは、この酸素が作られてきたからです。