連載コラム

「ー時のかたち「切れる」 【1】-④ ー」

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2023.06.28

 同じ紙面にあった、上村淳之先生のコラムも考えさせられる。日本画家。京都市立芸術大学副学長先生だ。

 子どもは大人の背中を見て育つというのは昔から言われていた。それは親であり、近所の大人でありその他出会った大人達の背中から学習する。小児科医として私はまず両親そして家族の人間関係がとても大切だと感じて、育児雑誌に書くときは何時も気にして書いてきた。

 近年は大人になるほど人としての質の低下が気になっていた私だ。ある人は私を成熟してないと言うので、私は自分が成熟しないで知能指数が低いのかもしれないとも自認している。確かにたくさんの障碍者と出会ってきて、IQが低いと言われる人々程、私は接して心休まると感じたものだ。

 決して他人を疑うことも知らないし、他人を不利にすることも考え付かない人々である。騙されて損ばかりする。この世の中では生きられない程お人好しだ。もっともこの人の世では、ある程度利口さがないと生きられない。

 上村先生は、子どもが社会問題を起こしている。それは大人の背中を見て育ってくるからとおっしゃっている。今の私から言えば、人は食べ物の化身であるし、家庭の生活レベルで食べ物の質も違ってきて、そして学校環境、少年になっての付き合う友達環境も違うので違った人になるのだ。

 全ての大人が次世代の模範だという気持ちがあると嬉しいが、そんな余裕もない大人が沢山いるのは社会格差の拡大から来ている。なんとか人は「衣食足りて礼節を知る」のだから、ほどほどで格差が収まればよいのになあと夢見て何もできないでいる。