TORJA「漢方内科医の手当て」

『TORJA』2026年9月号掲載「漢方内科医の手当て」~薬になる食べ物②

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③ニンニク、黒ニンニク

 ニンニクは身体に良いのですが、日本の人々は私達中国台湾の人々より臭いにデリケートでふんだんに使うことは少ないそうです。日本の人々が好むのは無臭ニンニク(ジャンボニンニク)で、これは西洋ねぎとも言われニンニクそのものでないそうです。私の漢方の大先輩は戦後、普通のニンニクを無臭に加工する研究をして生産販売しようと考えていたものの、生産まではこぎつけなかったそうです。最近は加工して黒ニンニクという形で販売されたり、自分で作る人々もいるようです。

 私は手当てとしてニンニク塩湯うがいをお勧めしてきました。大きめのニンニク一片をすりおろして200ccの水に溶き、自然塩ひとつまみ入れかき混ぜます。数分置いたら茶こしで濾します。喉が痛いとき、炎症が続くときはこれでうがいし一口分だけ飲みこみます。それだけで扁桃炎や咽喉頭炎を予防、治療していました。濾した後の残りかすは料理に使えます。昔台湾ではジフテリアの薬はまだなくニンニクすりおろし汁を喉へたらし込んでいました。ごくっと飲み込めばもう治せるのだと考えられていたそうです。

 ニンニクにはビタミンB1、ビタミンC、アリシン、スコルジニン等が含まれています。特に強壮作用があるのがアリシンで、ビタミンB1を体内に保持し、新陳代謝を盛んにして精力を高めるのです。
 また消化器の酵素の分泌を盛んにして食欲を出させる働きもあるほか、タンパク質の消化を助けるので肉料理にもよく使われます。ただし食べすぎると胃粘膜が荒れますので、どんなに良いものでも程々に。

④山芋

 山芋はヤマノイモ科の総称で、種類として大和芋、長芋、自然薯などがあります。漢方薬では山薬(サンヤク)と言い上薬に分類されています。
 特徴はねばねばしたムチンという物質と言われていました。今は植物のねばねばはペクチンやマンナンと言われ、カロリーはありませんが水溶性植物繊維(多糖類)として健康維持に大切な成分です。
 消化酵素のジアスターゼも大根より豊富なので、たくさん食べても胃がもたれません。麦ご飯に山芋のすりおろしをかけた「麦とろ」はこの山芋の働きをうまく利用したものです。
 のどに魚の骨が刺さった時、生の山芋の皮をそぎ落とし適度に切ってそのまま口の中で飲みこむと骨が取れるとも言われます。もっとも、のどに骨が刺さらない上手な食べ方を幼い内に身に付けられると上等です。

 私は自宅の植木鉢で山芋を行灯型にして植えています。初夏から伸びてくるつる先や初冬にできるむかごは美味しいですよ。