2024.12.01
今2024年10月初旬。最近ネットで
「自分の頭を使って考えよう!」という
日本発の呼びかけをよく見かける。
私が母に「そこに座りなさい!」と
板の間に座布団もなく正座させられ、
「お母ちゃんだって間違えることがある。
自分の頭を使って、よく考えてから返事しなさい!」
と叱られたのが1950年以前だ。
以来、私はしつこいくらいに同じことを考え続けて今になる。
今、呼びかけられているのは、
今の日本の状態を憂う人達のようだ。
実を言うと、本当は頭だけでなく、
自分の身体全てをよく使ってほしいのだ。
偉そうなことを言える私でないが、それでも今は
毎日の身体自己訓練で少しずつ自由に動ける。
少なくとも痛みは全くない。
そしてふと、ある男性のことを思い出した。
どこの誰かもわからないが、電話でひととき話を聞いたのだ。
ある日の夕方の電話である。私は東診療所の
閉院の準備で忙しくしていた時のことだ。
「先生は話を聞いてくれると言うから電話しました。」
50歳代始めの男性だという。話を聞いたら、
自分は今立てなくなって整形外科医へ3軒相談に行ったけど、
どこでも「治りません」と言うだけだとのことだ。
「漢方薬で治る方法がありますか?」との相談である。
さらに聞いていくと、彼は中学2年生から家に引きこもり、
今は母と二人きり、テレビを見るだけの生活だという。
私は「漢方薬より自分で動いて鍼灸師、マッサージの
治療が良いでしょう。私の所へ来るなら、
自分で病気の経過をきちんとノートに整理して
持ってきてから診察は始められます。」と説明した。
しかし「僕は鉛筆ももう数十年触ってないので
字が書けないです。」というのだ。
それから少しあれこれ話を聞いたが、明らかに
身体の「不使用退化」で私には何もできない。
バタバタ忙しい私にとってそれ以上は
時間が取れず、電話は切れた。
それにしても彼は本当に恵まれたお坊ちゃんだった。
あれからもうかなり経ったがお母さんはまだ健在だろうか?
自立できない息子を抱えてどのように老後を過ごされたのだろう?
日本にいる時はこんな若い人達はざらに見かけられた。
性別関係なく親の経済力でその日が暮らせる恵まれた日本の人達。
「戸塚ヨットスクール」事件(1979年~1982年)が
あった頃から社会で目立っていたのでないか?
1970年開院の私であるが、とにかく日本の
社会の変化は明らかに子ども達の生活に出ていた。
同時に電子機器の急激な発達だ。
「子ども達が外で遊ばなくなったなあ」と
私が気になりだしたのが1980年頃かも知れない。
日本は相続問題が大変と言われているし、
「国立市は相続で自殺者も出ています」と
タクシーの運転者さんが話してくれてたこともある。
それより不動産の権利書がバブル経済の後、紙でなく
「番号」で管理されるようになった時、知り合いの不動産屋さんは、
「その内日本では路上に老人があふれますよ。コンピューターの
恐ろしさは、数字で何とでも操作できることです。
路上には不動産を盗まれた老人達が出てくるでしょう」
という話だったが、嘘か本当かわからない。
ともあれ綺麗に見える日本である。
外国人から見れば本当に素晴らしい国である。
だから私は希望があると考えるのだ。
若い人達がそれぞれの立場で発言している。
公的な情報はシンプルだけど、個人が自由に発信しているのと
両方を読み比べると本当のことが分かりやすい。
何より先に一人ずつが自由に動いて
自分の身体を健康に維持することだ。
それもありがたいことにたくさんの
マイヘルス情報が出ている。科学の発達のおかげだ。
身体と頭の働きは切り離して考えないのが良い。
自分で動こう! 今からでも遅くない。