連載コラム

「-「税金は貧乏人が払うもの」という人々。-」

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2024.08.01

 歴史は繰り返すと言われるけど、本当に
人がすることは面白くって仕方がない。

 オペラ歌手だった田谷力蔵という人が
「人生は舞台で演劇をしているのと同じです」
という言葉を残したと聞いたことがある。

 私は8歳の時、病床で「人とは何だろう? 人の世とは
どんなものだろう? 大人になったら人間学を研究したい。」
と枕元に座っていた母に言った。母は即答してくれ
「医者になったら、少しはわかるかも。。。」
と答えてくれたのだ。

 そしていまだに自分の疑問を持ち続けているが、
本当に田谷力蔵の言うとおりだと思う。

 日本にいた時からいろいろ人の話を聞いてきた私であるが、
この30年は本当に苦しかったが面白かった。
「冗談じゃない!」と叱られるので黙っている。
私自身は2005年に個人破産までして、
お金には縁がない人生のようだ。
飢え死にしないだけでも感謝以外ない。

 世界を見ていると中世期の封建荘園時代を連想する。
それぞれの有力者領主さん達は税金を自由に課すことが出来、
下々は何も出来ないという。

 もう何十年も昔の話だがアメリカで、ある大金持ちらしい老女が
脱税したとかで起訴されたそうだ。日本でのニュースで知った。
本当かどうか分からないけど、その女性は取り調べの人に
「あら、税金なんて貧乏人が払うもんだと考えていたわ!」
と言ったそうだ。きっと歴史の中では現在も中世期の延長なのだろう。

 税金といえば思い出すことがある。

 私がまだ独身で必死に通学と働くことに明け暮れていた頃、
時に外科医の医師が話してくれるのだ。
多分、大学の病院で仕事をしていた人だったと思う。
名前も忘れてしまったが、彼から「帰化申請をするなら、
口利きしてあげるよ」などと言われたことがあった。

 また別の時に「君はまだ世の中を知らないと思うけど、
相続税だけは払うなよ。医師は仕事中からすごい税金を
払わされる。そしてやっと仕事を終わって次の世代へ
バトンタッチという時に相続税とかでごっそり持っていかれる。
役人達の私腹を肥やす必要はないさ」と話していた。

 ゆっくりおしゃべりする関係でもないので、
私は話しかけられて聴く一方だった。
「変なことばっかり言う先生だ」ぐらいにしか理解できない。

 あれからもう半世紀以上だ。大人になって学習するほどに、
なるほどなあと思うことがある。今、自室で一日中
書類の整理終活をしていて、思い出すことがあるというのは
それだけ歳をとったのだと思う。

 田谷力蔵のいうように人は皆この世という舞台で演劇をしている。
同じ人は居ないし、100年後200年後の人々が、
現在の21世紀初頭の記録を見たら、
どんな時代だったと評価するんだろうか?
ちょうど私達が繰り返し過去の歴史を学習するように。。。

 私に言わせれば、何事も反対に考えれば
うまく人類は自滅しないかも知れないと想像する。

 使いきれないお金を持つ余裕ある人は一円なんて
眼中にないけど、一円がなくて死ぬ人もいる。
税金は上から少しもらって下々の子ども達が働かなくても
いいようにするべきだろう。子ども時代は大切な学習時間だ。
世の中良くしようとしたら、子ども達を正しく教育することだ。

 ボランティアだって余裕ある上の人々がするとよい。
良いことを言うならまず自分が実行する方が
その言葉の価値があるし効き目がある。

 今私に出来ることは整理整頓、自分のモノを減らして
次世代は出来るだけ何もしないで済むようにしておきたい。