連載コラム

「-「日本には希望がありますか?」と質問されて。-」

この記事は約3分で読めます。

2024.07.16

 最近の日本は少し問題がありそうだ。
人々は少し不安げで少しうつ状態で、諦めムードでもある。

 嘘か本当か知らないがメディアはほとんど一つになったそうである。

 昔から歴史は繰り返すというから、別に驚きもしないが
犠牲者が出るのは、いつもどこでも哀しいものだ。

 そしてある人に質問された。
「日本には希望があるでしょうか?」
日本人でない方が客観的に見るとそう考えるらしい。

 身内程悲観的に心配してしまうものだ。それで私は答えている。
「火を見る戦いに巻き込まれない限り日本は大丈夫でないでしょうか?
ただし火山列島で地震が多いですから、一日も早く原子力発電所は、
凍結、解体、廃炉にすべきですね。」
「一人一人が自分が生きることを他人に任せない事です」
と答えるが、実をいうと日本が今「火の鳥の様に再生中」と
考えたのはずーっと前からだ。

 次の文章を読んでみてほしい。
今私の手元に残っている一枚のビラだ。
いつごろ貰ったのか忘れてしまった。
「日本型食育で子どもと社会を守りましょう!!」
書いたのは井上明氏で、私達夫婦は彼のファンであった。

 私達は元NPO日本綜合医学会で学習していた。
連れ合いはサヨナラしたし、私も出国を機会にめったに
元の人達にも会わなくなった。
ビラに書かれてある文章から抜粋する。

 初等教育の最大の目的は好き嫌い(自分勝手)の少ない、
欲望のままに行動しない人を作る事だと思います。
福岡のある小学校、給食当番が配り終わると全員が立ち上がり、
自分が嫌いなニンジンやピーマンを鍋に戻し、
その後全員が食べ始めるといいます。
(給食が嫌いで学校を休む生徒に対する学校側の愚策。)
これは小さい頃から欲望のままに生きなさいと言う最悪の教育です。
(中略)戦後は個性の尊重ばかりが先行し……
(中略)親が子どもに「今晩何食べたい?」と聞くのはやめましょう。
これは子どもの好き嫌い(欲望)に任せる子どもを最も悪くする言葉です。

 私はこれを読み直して、恥ずかしくなる。
息子達が幼い頃、私はがむしゃらで24時間体制で診察を続けていた。
出来る限りのことはしたが、今思えば良くない食餌だ。

 私達はお菓子好きだし、冷凍食品も良く使った。
鶏手羽先の甘辛煮は本当にどっさり食べさせた。
もちろん野菜も食べてはいたが、食事には今ほど気にもしていなかった。

「ごめんなさい」といつも内心謝ることが多い。
でも今は二人とも食事に気を付けている。

 安斎育郎先生のような人もいる。私が加入していた
東京反核医師の会にも講師としてきておられた。
日本女医会の青木正美先生にも会ったことは無いが、
お二人とも原子力発電所に反対しておられる。

 私は昔、若い政治家が親分国へ呼ばれて帰ってきて
強行して沢山の原子力発電所を作ったその時の日本の皆さんの
反対運動の凄かったこと、そして特に女性達が頑張っていたことを
よく覚えている。

 私の患者さん達の家族はそのために海外へ移住されている。
その後、十数年前にもなる福島原子力発電所の事故で
どれぐらいの人がまた日本を離れたか?

 動ける人はそれでもよいが、ほとんどの人々は
さまざまな事情で動けないのだ。そしてその皆さんは
自分の母国のために頑張っておられる。

 大沢博先生が三五館から『その食事では悪くなる』という
本を出している。私は色々な障害児のグループと関係していたが、
考えさせられることが多かった。

 今からでも遅くない。日本の皆さんは、もう一度
立ち止まって考えて見たらどうだろう?

 おせっかいな私だと承知している。日本では多くの人々が
必死に「何とかしなくては」と頑張っておられる。
ほとんどの人々が与えられる情報を面倒くさいので
鵜呑みにするという傾向があるだけだ。

 誰も他人が生きることなど気にしていない現代だからこそ、
立ち止まって「これは本物?」と慎重になる以外ない。

 日本を少し知っているだけの私だが、
「世界は良きにしろ悪しきにしろ、日本の後を追っかける。
日本は世界の鏑矢なのだ。こんな日本に希望がないはずがない」
と私が答えると、人は私のことを「すごいエネルギーですね」
と言ってくださる。