TORJA「漢方内科医の手当て」

「『TORJA』2025年6月号掲載「漢方内科医の手当て」~鼻の症状で治療を受け続けた経験から。~」

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 先月お伝えした副鼻腔炎(蓄膿症)の手当ては民間療法ですが、他にも鍼灸や漢方薬、西洋医薬品、外科的手術などいろいろあります。手術はうっかりすると再発がありますし、経験してきた私は怖いと感じています。でもあくまでケースバイケースですのでご自分で選んでください。

 私は子どもの頃、冷え性で泣き虫でいつも鼻を詰まらせていました。私を溺愛していた父は母の反対を押し切り、たびたび隠れて私を耳鼻科へ連れていきました。私もいつも父の膝に座り父に抱かれたがっていたそうです。結果的に耳鼻科で注射をうったり、抗生物質などの薬を飲んだり、さらに手術は何回も受けてしまったのでした。
 一方母は「人は養生、食養生が先」とよく言っていました。他の兄姉たちは父について行くこともなく母が手当てをしていました。両親は私のことでよく言い争っていたとずっと後で長姉から聞きました。老いた父の世話をするようになった時は、母は「一番虐待を受けていたアンタが、お父さんを引き取ってくれてありがとうよ」と言っていましたが、父は悪気でなく良かれと思っていたと私は信じているのです。

 20歳も近くになった頃、東京の医科大学に通っていたのですが、ある朝目覚めたら顔中血だらけでびっくりして急いで大阪の実家へ帰りました。そして大阪大学附属病院耳鼻科で診てもらいました。そして教授が言ったのです。「子ども時代に耳鼻科に通い続けたのですね。そうでなければこうはなりません。最後の手術をしますが以後決して手術しないことです。死にますから。」その時初めて私は「骨髄障害」になっていると分かったのです。

 阪大の内科で骨髄検査をし「脾臓摘出かステロイド療法以外ない」と言われました。私は分からないままに病人は医師の言うとおりにするものだと考えていましたが、婦人科医の長姉が「両親と相談します」と断り、急いで私を病院の外へ連れ出し私を叱りました。「医師の言うことを何でも信じることはない。モルモットになる気か?」そこで私は本当の事を知らないということは哀しいものだと気付き、「自分が生きるための本当の医療は何か?」研究することに決めたのです。骨髄検査は東京に戻って4回も受けました。その後色々考え、治せるものは自分で治し、病院通いをできるだけ少なくしようと考えたのです。

 自分の身体は他人とは生物として繋がっていない。結局一番その身体を理解できるのは本人だけなのです。