TORJA「漢方内科医の手当て」

「『TORJA』2025年5月号掲載「漢方内科医の手当て」~鼻の症状 その①~」

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「鼻」は身体の正中線の上にあり、顔の真ん中にあるので顔相学でもとても大切なところです。鉄則は「できる限り触れない」ことです。ですので「面疔(めんちょう)」は触らないで全身から治療します。

 まず化膿性の病気になったら化膿させやすい食べ物、たとえば甘い物や油脂の多い物、魚のはらわた、ピータンや塩卵などのたんぱく質の加工品をすぐ中止します。動物性たんぱく質の多食も厳禁です。そして玄米菜食を中心とし、海藻類や豆類の料理に切り替えます。私は旬の野菜の他、一年中青野菜のおひたしを食べるようにお勧めしています。
 もし旬の季節なら十薬(じゅうやく=ドクダミ)の葉っぱを使います。料理方法はいろいろありますが、私は手っ取り早くスープにします。始めに味付けしたスープを沸騰させ、きれいに洗って水切りした十薬の葉を入れすぐに火を切る、これだけです。少し酸っぱい感じですが、これが体内解毒してくれるのです。十薬は民間療法でも漢方薬処方でも大切な薬草です。抗アレルギー作用があり、化膿を止め、抗生物質など毒性物質の解毒作用があるのです。薬疹を治療するのによく十薬入りの処方をしてきました。

 鼻の症状は年齢によりさまざまですし、単なる鼻づまりから鼻癌まで本当に多様です。それらに合わせて一人ずつ治療法は異なるのです。鍼灸、漢方薬等東洋医学はすばらしい医術です。新旧の治療法のいいとこどりで良いのです。
 赤ちゃんの鼻づまりでしたら温かいタオルで顔を拭いてあげるとか、薄荷(メンタ)を少し鼻孔の周りに塗ってあげる、タオルを畳んで枕を少し高くする、横向きに寝かせるなど簡単な方法があります。

 よくあるのが急性または慢性の副鼻腔炎(蓄膿症)で、これらは放置してはいけません。そこから鼻癌、副鼻腔癌にもなる人がいました。それらも全身的に治療するのが良いのです。手術しかないと言われたひどい副鼻腔炎を自分で治した人たちが何人もいました。
 十薬の葉を摘んで水を流しながら汚れを落とし、キッチンタオルに挟んで水気を除く。その後お皿の上で葉っぱをつぶします。そのドロドロしたのを片方の鼻に詰め、横になり30分。口のほうへ流れた汁は吐き出してください。30分したら軽く鼻をかんでドクダミの葉を出して今度はもう片方にも同じことをします。計1時間、これを毎日良くなるまで繰り返してください。