TORJA「漢方内科医の手当て」

「『TORJA』2025年10月号掲載「漢方内科医の手当て」~生姜の効能 その①~」

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 生姜はいつも身の回りにあって、人によっては自分で育てているでしょう。私が日本にいた時は、生姜もミョウガも好きでしたので庭の片隅に植えていました。生姜は漢方薬でも大切な生薬ですが、民間療法、自然療法の中でもなくてはならない大切な植物です。
 生姜と言えば風邪気味の時によく使われます。今回はその使い方をいくつか紹介しましょう。

①南天の実を10粒と生姜のすりおろし小さじ中盛り1杯、黒砂糖1欠片、水250ccを弱火で煎じてお茶にして飲む。

②葛湯に生姜のすりおろし汁を加え、蜂蜜を少し加えて温かい内に飲む(蜂蜜は1歳未満の子どもには使わないこと)。

③市販の生姜湯の粉末1回分に梅干しの果肉をつぶして加え、熱い番茶を注いで1カップ飲んで、暖かくして寝る。

④風邪気味と思ったらあまりお腹いっぱいに食べないで、さっぱりした体があったまる生姜入り味噌汁、またはスープで済ませ、お風呂に入らず足湯してからお尻を洗って早々とあったかい布団に潜り込みます。

⑤私自身はいつも羅漢果の生薬(乾燥果実)を置いていますので、家族が風邪気味となったらそれを煎じ、生姜のすりおろし汁を加え、時に心配なら板藍根の粉末1回分を加え飲んでもらいます。インフルエンザでもコロナでもそれで終わりです。数日もすれば元気に働けています。

 また、風邪の症状以外にも

⑥咳がひどい時、生姜やホオズキの実の黒焼きなどを使います。この黒焼きの粉を大人で1日2~3g寝る前に飲むだけです。私は自分で作っておいていましたが、今時は「黒焼き屋さん」という専門店で買っておくほうが楽でしょう。特にホオズキの黒焼きは百日咳のようなときに使われていました。『黒焼きの研究』(小泉榮次郎著、たにぐち書店)という専門書もあります。

⑦喘息の時、レンコンを節も含めて部分も皮ごとすりおろし、生姜のすりおろしを加え熱めのお湯を注いで蓋をします。5~6分して茶こしでこして、その湯を飲みます。レンコンは去痰作用があるのです。私はお湯の代わりに羅漢果の煮汁を使います。

 大切なのは日頃の養生。食養生と治療方法、手当ての仕方です。人の身体は自然の一部ですので、自然にない人工的な化学物質は体内に入ると少しずつ蓄積して体内毒として人の生命を縮めるのです。ただでさえ今地球自体が毒まみれで多くの植物、動物も絶滅して行きます。人はあまり気が付かないだけで自分の生命は自分で守る必要があるのです。