TORJA「漢方内科医の手当て」

「『TORJA』2024年8月号掲載「漢方内科医の手当て」~昔から伝えられてきた自然療法や民間療法~」

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 前回「くしゃみ、鼻水、風邪気味かと思うとき」について書きましたが、実はもっと沢山の手当ての方法があります。昔の人だって風邪くらい普通にかかっていたのでしょう。鍼灸、漢方薬を飲むなど専門家にお任せしましょう。漢方薬に関しても、専門の薬局もあるのですし、直接相談に行くのが良いです。今回は昔から伝えられてきた自然療法や民間療法、その時のいろいろな手当ての仕方など雑学です。

 風邪はありきたりですが、「万病のもと」と言われる位に風邪でも生命を落とす場合もあります。ですからまず風邪かと思ったら、無理せずゆっくり睡眠をとります。お忙しい人でも、仕事を減らしてのんびりしてください。

【ア】ミカンを使う。

 子どもの時の私は本当によく風邪をひきました。ミカンのお尻に穴を開け、一つまみの塩を入れて火鉢の網の上で焼いてふうふう吹きながら食べていました。ミカンの皮は陳皮(チンピ)と言われて昔から「風邪の妙薬」と言われていました。咳、のどの痛みにも使われます。

 ワックスなしのミカンをさっと水洗い、水拭きをしてその陳皮を刻みます。3グラムほどを蓋つき湯呑に入れ熱湯を注ぎ、市販の生姜湯を小さじ1/2杯加えます。10分置いて熱いうちに飲みます。家族が多い時で煎じ液を作る時は、陳皮を10グラム、水を500cc、生姜の刻み3グラム、甘草2グラムを加え、約半分の量になるまでコトコト煎じます。後は茶こしで濾してその煎じ液を飲みます。

【イ】カリン酒や、あんず(アプリコット)酒を作っておく。

 果実を水洗いして、水気を拭き取り、その果実500グラムを梅酒のビンに入れ、ホワイトリカー36度を約1.8リットル加えておきます。3か月ほど経てば使えます。風邪薬としては疲労回復・咳止めとして1回に約15ccを1日に2回飲みます。羅漢果と混ぜて飲む人もいますが、心臓の弱い人、お酒を飲まない人は使えません。

【ウ】キンカンマーマレード。

 私はキンカンが大好きでしたので6本ほど植えていました。特に大実キンカンは棘がなく、生でも食べやすく収穫が多い時はマーマレードやジャムを作ります。風邪気味と思ったらお湯に溶いてショウガ汁を加えて飲みます。

【エ】葛湯(くずゆ)

 葛は本物が少なくなりました。有名なのが、吉野葛ですが、高価です。豆科植物の葛は漢方薬の生薬として大切な植物です。葛根湯、桂枝葛根湯その他に処方されています。