連載コラム

「−本当に地球が壊れてしまったら「ごめんなさい!」−」

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2023.01.14

 「言葉」は本当に難しい。「ありがとう」と「ごめんなさい」以外は必要が無いと言われたことがある。日本の有名でもない普通の人からだ。社会で活躍していて、目立つ人ほど「ごめんなさい」とは言わないそうだ。言われても心が伴わず、口先だけに聞こえるので、聞いた気にならないそうだ。

 難しいことを言う人だ。「ソクラテスみたいだなあ」とその時私は内心考えたけど、返事はしなかった。でも時にはズシーンと心の奥深くまで響く言葉があって、ずーっと忘れることが出来ないでいる。

 私は大人になってからおしゃべりになった。「しゃべり過ぎて身を危なくするから」と注意されていたが、それでも私は半分も言っていない。言っていることは誰でも知っているぐらいのレベルだ。

 さて私が本当の「ごめんなさい」と聞いたと考えているのは、マザーコンプレックスが強いと言われる私だからこそ、聞くことが出来たと思う。母は父が逝った後すぐ84歳で大阪から私の所へ来てくれた。その後いろいろな肉体的困難を乗りこえ、96歳で亡くなる数か月前まで、私との二人生活は続いた。

 ときどき海外にいる家族が来るが私は診察に追われ、あれこれせねばならなかったけど、何とかやりくりできた。たまに母とゆっくり話す時間もあった。母がある時シンミリと言い始めた。

 「今まで私は誰にも言えなかったわ。子ども達には本当に申し訳なく、私は心の中で謝り続けていたのよ。私の子どもとして生まれて皆とても苦労したわね、産んでくださいと頼まれもしなかったのに、私は生命を与えてしまった。『ごめんなさい』と謝り続けているのよ」

 私はびっくりして「何言ってるのよ。皆を教育してくれて、子どもは皆何とか恙なく生きていける。お母ちゃんには、感謝以外ないよ」と答えたのを覚えている。母は二コッと笑って「それならよかった!」と答えた。

 今私は母と同じように心の中で謝罪することが多い。相手は私の家族、そして私の沢山の患者さんだった人たちに対してである。家族に対しては今からできることを誠実にこなし、最後まで自分の肉体のケアーが出来るようにする。

 患者さんたちのカルテを今一枚ずつ読み直し如何に学力不足だったか‼反省する。その謝罪のために私は必死にキイを打つ。

 まず居場所を確保してください。子ども達には奪われない財産として母語、実用的な英語、そしてもう一つの地球語をマスタ―させてください。生きていなければ意味がないので日本の伝統食を基本にした伝統統合医療の知識を持たせてあげてください。

 いざという時を想定して何時親がいなくなっても困らないように何時でも「自立して生きてゆける準備を」とお勧めしている。なんといっても人は地球が無くなったら生きてゆけない。宇宙のゴ三になるだけだ。それを伝え足りない、大人としての力不足を謝罪し続ける。本当に地球が壊れてしまったら「ごめんなさい!」